治療開始のタイミング

治療開始時期は総合的に判断します
治療のリスクとベネフィット
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肺MAC症は、確定診断がついてもすぐに治療を開始するとは限りません。無治療でも進行が緩徐なこともあるため、治療した場合の副作用を考慮し、経過観察を行う場合があります(表1)。
表1:肺MAC症治療開始におけるリスク-ベネフィット
- 治療するメリット
- 自覚症状の改善
- 長期予後の改善
- 治療しない場合のリスク
- 進行悪化する
- 手術の機会を逸する
- 重症化してからでは
治療で改善しにくい - 治療する場合のリスク
- 副作用
- 併用薬の相互作用
- 薬剤耐性の誘導
- コスト
中川拓, 小川賢二. 呼吸器ジャーナル. 2018; 66(4): 608-615. より改変
治療開始時期の考え方
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診断の確定は治療開始のための必要条件ではありますが、それが必ずしも直ちに治療を開始する十分条件ではありません1)。
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治療開始時期は、患者ごとに年齢や自覚症状、画像所見、基礎疾患、患者の希望などを考慮して、総合的に判断します(図2)2)。
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喀痰塗抹陰性や排菌量の少ない症例、無症状例、空洞を認めない結節・気管支拡張型の軽症例では、治療開始時期については注意深い観察を前提として個別に検討します1)。
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ATS/ERS/ESCMID/IDSAガイドライン2020では、喀痰抗酸菌塗抹陽性あるいは有空洞例には注意深い経過観察(watchful waiting)よりも治療を開始することを推奨しています3)。
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喀痰塗抹陽性や空洞がある場合は治療を開始するという方針に加えて、年齢によらず忍容性、基礎疾患、画像所見の推移、菌種などを加味して治療の要否を判断します1)。
図2:肺MAC症治療開始時期の考え方フローチャート

日本結核病学会 編. 非結核性抗酸菌症診療マニュアル. 医学書院; 2015. p.84.
無治療経過観察の場合
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無治療経過観察を行うと、10年ぐらい進行しない場合や、自然に菌が陰性化する場合もありますが、1〜2年で急速に悪化する場合もあります2, 4)。海外の報告では、無治療経過観察を行った肺MAC症患者の約半数が2〜3年のうちに悪化し、治療開始を必要としました5-7)。
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治療開始のタイミングを逸しないため、十分に経過観察を行うことが重要です。
References
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日本結核・非結核性抗酸菌症学会 非結核性抗酸菌症対策委員会, 日本呼吸器学会 感染症・結核学術部会. 結核. 2023; 98(5): 1-11.
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日本結核病学会 編. 非結核性抗酸菌症診療マニュアル. 医学書院; 2015.
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Daley CL, et al. Clin Infect Dis. 2020; 71(4): e1-e36.
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中川拓, 小川賢二. 呼吸器ジャーナル. 2018; 66(4): 608-615.
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Koh WJ, et al. Chest. 2012; 142(6): 1482-1488.
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Lee G, et al. Ann Am Thorac Soc. 2013; 10(4): 299-306.
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Hwang JA, et al. Eur Respir J. 2017; 49(3): 1600537.
治療する
- 治療目標
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治療開始のタイミング
- 肺MAC症の標準治療
- 治療上の注意
- 治療効果の評価
- 治療期間
- 経過観察
- コンサルテーションのタイミング