肺MAC症の標準治療

標準治療は3剤併用療法を基本とし、病型によって他の薬剤が追加されます

肺MAC症の治療

  • 肺MAC症の治療レジメンは、空洞のない結節・気管支拡張型(重症は除く)、重症例、難治例で異なります(表2)1)

  • 空洞がなく、重度の気管支拡張所見がない結節・気管支拡張型には、マクロライド、エタンブトール、リファンピシン(3剤併用療法)を連日投与または週3日の間欠投与で行います1)

  • マクロライドとしては、クラリスロマイシンの他、アジスロマイシンも選択肢となります1)

  • エタンブトールの投与量については、連日投与の場合は15mg/kgを超えないようにします1)

  • 線維空洞型、空洞があるまたは重度の結節・気管支拡張型には、3剤併用療法の連日投与にアミノグリコシド注射薬を追加(併用期間:3〜6ヵ月)します1)

  • 標準治療を6ヵ月以上行っても排菌が陰性化しない難治例には、3剤併用療法の連日投与にアミノグリコシド注射薬あるいは、アミカシンリポソーム吸入用懸濁液(ALIS)を追加します1)

  • 重症例、難治例には必要に応じて外科治療の併用が検討されます1)

表2:肺MAC症の治療

病 型 治療レジメン
  • 空洞のない結節・気管支拡張型(重症は除く)

A法かB法のいずれかを用いる

A法:連日投与

CAM 800mg or AZM 250mg

EB 10~15mg/kg(750mgまで)

*RFP 10mg/kg(600mgまで)

B法:週3日投与

CAM 1000mg or AZM 500mg

EB 20~25mg/kg(1000mgまで)

*RFP (600mg)

  • 線維空洞型

  • 空洞のある結節・気管支拡張型

  • 重度の結節・気管支拡張型

A法+治療初期(3~6ヵ月)に以下を併用する

  • SM 15mg/kg以下(1000mgまで)週2~3回筋注

あるいは

  • AMK 15mg/kg連日 or 15~25mg/kg週3回点滴、TDMで調節
    (50歳以上の場合8~10mg/kg週2~3回、最大500mgまで、TDMで調節)

必要に応じて外科治療の併用を検討

  • 難治例(多剤併用療法を6ヵ月以上実施しても細菌学的効果が不十分な患者)

A法に以下のいずれかを併用する

  • ALIS 590mg/日吸入

あるいは

  • SM 15mg/kg以下(1000mgまで)週2~3回筋注

あるいは

  • AMK 15mg/kg連日 or 15~25mg/kg週3回点滴、TDMで調節
    (50歳以上の場合8~10mg/kg週2~3回、最大500mgまで、TDMで調節)

必要に応じて外科治療の併用を検討

* RFP忍容性の低い症例、薬剤相互作用を懸念する症例ではRFPを減量、さらに除くことも検討する(付記のRFPの項を参照)。RFPを除いた場合にはCAMの血中濃度が低下しないので、低体重の患者ではCAMの減量(400〜600mg)を考慮する。AZMを使用する場合には用量調節は必要ない。週3回投与では、基本的に3剤併用が望ましいが、忍容性が低いと判断した場合には、RFPの減量(300mg〜450mg)を考慮する。

CAM:クラリスロマイシン、AZM:アジスロマイシン、EB:エタンブトール、RFP:リファンピシン、SM:ストレプトマイシン、AMK:注射用アミカシン、TDM:Therapeutic Drug Monitoring、ALIS:アミカシンリポソーム吸入用懸濁液

日本結核・非結核性抗酸菌症学会 非結核性抗酸菌症対策委員会, 日本呼吸器学会 感染症・結核学術部会. 結核. 2023; 98(5): 1-11.

副作用への対策

  • 肺MAC症は高齢者や栄養不良の患者も多く、副作用への対策が非常に重要です。

  • 個々の副作用については、日本結核病学会の「結核診療ガイド」2)や厚生労働省の重篤副作用疾患別対応マニュアル3)なども参考として、適切に対処を行います。

  • また、薬物相互作用にも注意が必要です。治療開始時には合併症に対する使用薬剤を調べ、薬物相互作用による副作用を回避します4)

  • 副作用が生じた場合は安易に治療を中断終了せず、アレルギーに対する減感作療法や原因薬剤の特定、代替薬の検討などにより、できるだけ治療を再開・継続することが重症化の予防につながると考えられます4)

References

  • 日本結核・非結核性抗酸菌症学会 非結核性抗酸菌症対策委員会, 日本呼吸器学会 感染症・結核学術部会. 結核. 2023; 98(5): 1-11.

  • 日本結核病学会 編. 結核診療ガイド. 南江堂; 2018.

  • 厚生労働省. 重篤副作用疾患別対応マニュアル. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/topics/tp061122-1.html(2024年4月25日に利用)

  • 日本結核病学会 編. 非結核性抗酸菌症診療マニュアル. 医学書院; 2015.

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